先祖と生き物への供養から学ぶ

心を育てる時間
本日、大安禅寺恒例の秋彼岸会並びに放生会を厳修いたしました。

前日に搗いた御餅をお供えし、ご先祖様のご供養、そして生きとし生けるものすべての御霊へ感謝をお捧げしました。御詠歌で始まり、御檀家様とともにお経を唱え、一日を通して「支えられて生きている」ことへの感謝を届けるひとときとなりました。   
こうした行事のたびに思うことは、目には見えないけれど、人として大切にすべき心を、お寺は形にして伝え遺していく場所であるということです。まさに次の世代へ継いでいくべき大切な営みだと、改めて感じさせられます。
「供養」という言葉は、サンスクリット語の「プージャ(pūjā)」に由来し、日本語では「供給資養(くきゅうしよう)」とも訳されます。つまり、ただお経を唱えるだけではなく、心を供え、心を養うことが本来の意味です。ご先祖や生き物への祈りを通して、私たち自身の心をも育てていく──供養にはそのような深い意義があるのです。
お供えされた御餅を、参拝された皆様と分け合いながら、今年も無事に行事を終えることができました。「おかげさま」「お互いさま」の心で、みんなで準備し、みんなで片付け、そしてお供えされたものは平等に分かち合う。               

このような在り方こそ、人がともに生きていくうえで欠かせない大切な姿勢であり、仏の教えに通じるものだと感じます。行事は形のためではなく、そこに込められた心を次代へつなげるもの。秋の一日、ご供養を通して改めてその大切さを胸に刻みました。

大安禅寺 髙橋玄峰 合掌 

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