令和の大修理

令和の大修理

Cultural property repair

重要文化財大安寺本堂他7棟
保存修理事業

重要文化財大安寺本堂ほか7棟保存修理事業について
事業期間…平成30年11月~令和14年頃
修理対象…(前期)本堂・鐘楼・山門・塀中門
(後期)庫裡・開山堂・開基堂・宝蔵

令和元年に事業が本格的に始動し、現時点では全伽藍修理完了は2032年頃の予定です。完成に向けて、現場関係者一丸となって精進していきます。

本堂完成予想図
本堂屋根上屋茅葺型 葺き材・・・銅板奉納のお願い

大安禅寺の本堂は、文化庁の指導のもと、調査及び史実に基づき当初の屋根に復原されることが決まりました。それにあたり、こけら葺き箇所の「杉板」は多くの御法縁を頂き感謝申し上げす。続いて4月から上屋箇所の銅板の御奉納のご協力をお願い致します。

寺内に勧進所を設置しております

芳名帳にお名前・住所・祈願内容をご記入ください。のちほど銅板に書き入れさせて頂きます。

重文大安寺保存修理事業
「令和の大修理」に至るまで・・・

はじめに・・・

大安寺境内の諸堂は、大型の本堂をはじめ庫裏や開山堂など禅院の主要堂宇を揃えるほか、藩主の菩提所として江戸前期から中期にかけて造営された山中伽藍が良好に保存されていること、各建物が禅宗様を基調とし、意匠に秀で、福井藩御大工の高い力量を示していることが評価されて、平成20年6月重要文化財の指定を受けました。
本堂、庫裏ともに江戸時代の初期、万治年間(1658~1660)に建立され約360年を経過しています。建立以来、維持管理のために必要な修理が行われてきましたが、破損の進行が随所に見られ、根本的な対策が必要となりました。その他、境内諸堂も建立より300年を経過し破損が目立ってきています。このような状況のもと、今回、国、福井県、福井市の指導、補助のもと約10年に及ぶ修理事業が立ち上げることになりました。
平成29年ころから修理のための調査をはじめ、令和元年から本堂修理の準備工事が始まりました。

令和元年度修理の様子 「本堂工事の為に仮設・素屋根工事並びに境内整備」

令和2年度修理の様子

令和3年度修理の様子

令和4年度修理の様子(本堂)


重要文化財保存修理とは・・・

文化財の価値を損ねない。むやみに解体範囲を広げない(解体個所は最小限に留める)材料は慎重に取り扱う。破損個所は同種、同材を用いて補修し、元通りに組み立て直す。
使用できる材料はできるだけ再使用に努め、部材の取り外しは、建物の歴史解明の機会にもなる。工事と並行してじゅうぶんな調査を行う。

破損状況

【本 堂】※半解体修理
軸部の不同沈下、傾斜が見られる。北面畳廊下西側の柱が大きく沈下している。全体的に東南側に傾く傾向にあり、軸部の変形のため建具の開閉に支障をきたしている。小屋組では南面登梁の仕口に割損が見られる。床下は柱足元に継木、飼木等の調整が多い。一部にシロアリの被害も確認できた。

[解体修理] 建物を一旦取り解いて組み立て直す・・・鐘楼、山門、塀中門
[半解体修理] 柱、梁等主要部分は残して部材を取り解き、破損部を補修・・・本堂、庫裏
[部分修理] 傷んだカ所のみを補修する・・・開山堂、開基堂、宝蔵

【庫 裏】※半解体修理
本堂同様軸部の不同沈下、傾斜が大きい。床下に湿気が籠り柱、束の足元、床組材に腐朽破損、シロアリの被害が見られる。屋根は庫裏、大廊下の取り合いが悪く雨漏りの発生が見られた。

【開山堂】※部分修理
現在地には大正時代に移築されている。軒廻りが垂下している。軸部足元、正面縁、木階周囲にシロアリの被害が見られる。

【開基堂】※部分修理
軸部の不同沈下、外部嵌板の風化、風蝕、火燈窓の漆塗装の剥落が目立つ。また、基壇敷石が大きく弛緩し、一部に割損を生じている。

【鐘楼】※全解体修理(完了)
基壇の石積みが孕み出し、敷石が各所で割れ、不陸を生じている。このため軸部が傾斜し、建物全体に変形が生じている。(令和4年度完成)

【山 門】※全解体修理(完了)
柱礎石、地覆石が弛緩し、不同沈下が生じている。建物は全体に背面側に傾いている。平成29年3月に南側の袖塀が倒壊した。(令和4年度完成)

【宝 蔵】※全解体修理
外部壁に亀裂、基礎張石の弛緩、割損が見られる。

【塀中門】※全解体修理
軸部の弛緩、傾斜が見られ、足元に腐朽が見られる。鋼管の控柱で背面側への倒壊を防いでいる。

保存修理進捗状況

鐘楼・山門完成

当修理事業で、令和4年5月一番最初に修理完了を迎えた2棟「山門」と「鐘楼」のご紹介です。

山門の様子

大安禅寺の入口となる山門は、歴代藩主が通り抜けたことを想像させる規模の大きな高麗門の造りとなっている。脇門・袖塀が付いており、桟唐戸の両開きで、山門を抜けるとまっすぐに本堂へと導く、山の急斜面をのぼる階段へとつながっている。鐘楼の脇に続く参道を辿ると、従者たちが行きやすいように庫裡につながっている。

「山門」寛政四年(1792)建築/解体修理
山門修理の流れ

鐘楼の様子

本堂や庫裡に引き続き建築された。庫裡前方の斜面に笏谷石切石積み、切石敷きの基壇上に、さらに笏谷石の基盤を置いて柱を支えている。吊り下げられた梵鐘には開山大愚禅師の鐘文が刻まれている。それには「報恩謝徳の思いを旨に、仏法興隆と世の太平を祈り建築せよ。」とあり多く信者がご寄進されたとある。

「鐘楼」寛文三年(1663)建築/解体修理
鐘楼修理の流れ
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タブロイド誌発刊しました。

令和3年度までの工事内容を大安禅寺の由緒とともにまとめた情報誌です。広く皆様に保存修理の内容を知って頂くためのものです。
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※当情報誌は、国、県、市の補助事業の一部として刊行しております。

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令和3年度修理事業季刊誌

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