畳ひとつで変わる、本堂の風格
日本建築の妙を改めて感じて
皆さま、いつも大安禅寺の修理事業にあたたかなお力添えをいただき、心より御礼申し上げます。
いよいよ本堂に畳が入りました。
ただそれだけのこと、と言えばそうかもしれません。けれども、畳が敷かれた瞬間、これまでの工事中の空間がまるで別の場所のように姿を変えました。
イグサの香りが心地よく漂う新しい畳。本堂内部の掃除から始まり業者様が丁寧に入れ込みしてくださいました。



堂内に一歩入ると、静かな威厳と気品が漂い、歴史ある本堂がさらに凛とした表情を見せてくれております。


日本建築は木材の組み方や屋根の反りなど、技術そのものも素晴らしいものですが、それに加えて「空間のしつらえ」や「演出」によって、そこに佇む人の心まで変えてしまう力を持っているのだと、改めて感銘を受けました。
畳ひとつでこれほどまでに風格が増すとは、まさに先人の知恵と美意識の結晶です。




本堂の修理もいよいよ仕上げの段階へと進んでおります。
ここまで歩んでこられたのも、ひとえに皆さまのご支援とご祈念のおかげでございます。
思えば、工事が始まってから七年。
振り返るだけで、これまでの道のりに込められた様々な思いが胸にこみ上げてまいります。
来年はいよいよ落慶法要を迎えます。
しかしこれで終わりではなく、これから庫裏、開山堂、開基堂と、さらに複雑な修理が続いてまいります。気を引き締め、最後までしっかりと務めを果たしてまいりたいと存じます。
祖父である先代や住職、そして代々の御檀家様のご厚情を、どうにか正しい形で次代へつなぎたい。
未来の若き人々にとって、大安禅寺が「心の拠り所」となり、あるべき姿で、人と人が行き交う開かれたお寺となる――。
それが私の夢であり、責任であると改めて強く思いました。





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