越前和紙の手仕事──

本堂修復、いよいよ佳境へ

大安禅寺では、本堂の修復工事が進められており、これから終盤を迎えていきます。

本堂内陣──御本尊をおまつりする神聖な空間、そして格式高い「御成りの間」の壁には、伝統工芸である越前和紙が用いられています。
この越前和紙を、**経師(きょうじ)**と呼ばれる職人が一枚一枚、丁寧に張り合わせていく作業が進められています。
経師とは、襖(ふすま)や屏風、掛軸などの表具を専門とする職人のこと。和紙の性質を見極め、伸び縮みを計算しながら、少しの歪みも許さずに仕上げていくその技術は、まさに熟練の手仕事です。

越前和紙は、福井の地で千年以上の歴史を持つ伝統素材であり、その丈夫さと温かな風合いから、仏教建築においても古くから重用されてきました。
大安禅寺の本堂もまた、この和紙に包まれることで、静けさと荘厳さをたたえた空間としてよみがえりつつあります。
静かな和紙の表面に映る、やわらかな光。
手で触れられないほどの繊細な仕事に、時代を超えて守られてきた信仰の重みを感じずにはいられません。

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