370年の時をつなぐ、その責任を胸に

― 解体調査から見えてきた歴史と、未来への修理方針 ―

本日は、大安禅寺令和の大修理において、大きな節目となる「現状変更」のための文化庁現場指導が行われました。

現在修理を進めております開基堂・開山堂・庫裏に加え、開基堂への参道入口となる塀中門(唐門)についても、今後の修理方針を定める大切な協議の場となりました。

午前中は、文化庁調査官・梅津様をはじめ、修理委員会委員長の吉岡先生、福井県・福井市の行政担当者、設計監理者、施工関係者の皆様とともに、解体調査によって判明した内容をもとに、現状変更に関する審議と情報共有を行いました。

午後からは現場へ移り、実際に解体した部材や建物の痕跡を確認しながら、修理の方向性について一つひとつ意見を交わしました。
文化財建造物の修理は、ただ古いものを新しくする工事ではありません。

解体して初めて分かる事実が数多くあります。柱一本、梁一本、壁の下地一つにも、それぞれの時代の工夫や修理の痕跡が刻まれています。その積み重ねを丁寧に読み解き、「どの時代の姿を、どのような根拠で後世へ伝えていくのか」を慎重に判断していくことが、文化財修理の最も重要な使命です。

創建から約370年。

今回の調査を通して、福井藩主松平家が大安禅寺へ寄せた篤い思いが、建物の随所から改めて伝わってきました。

また、歴代住職や雲水たちが、この伽藍でどのような暮らしを営み、修行に励んできたのか。その息遣いまでも感じられるような発見もこれから解体調査が進むにつれ見えてくるはずです。

さらに明治維新以降、藩の庇護を失い厳しい時代を迎えながらも、「何とかこの寺を守り、次代へ伝えたい」と願った先人たちの努力の跡にも触れることができます。

決して十分とは言えない環境の中で、知恵を絞り、工夫を重ね、一つひとつ建物を守り続けてくださったその姿を思うと、胸が熱くなります。

私たちが受け継いでいるのは、建物そのものだけではありません。

そこに込められた祈り、人々の願い、そして「未来へ残したい」という歴代の志です。

だからこそ、この令和の大修理は、単なる保存事業ではなく、先人から託された思いを未来へ橋渡しする大切な使命であると感じています。これから修理はいよいよ後半戦へと入ります。

開基堂、開山堂、庫裏、宝蔵、客寮、そして塀中門。

本堂以上に複雑で難しい工事が続きますが、この福井を代表する禅刹・大安禅寺を未来へ確実に伝えていくため、関係者の皆様と力を合わせ、一歩一歩着実に歩んでまいります。そして私自身も、この修理事業を通して、現代だからこそ求められるお寺の価値とは何かを問い続けながら、多くの方々に必要とされる寺院であり続けられるよう、なお一層精進してまいりたいと思います。(住職)

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